「引っ越しで、間違えて電力会社を2社に申し込んじゃったかも…」「電力会社を切り替えたはずなのに、2社から請求書が届いた!」
慣れない手続きの中で、こんな事態に陥り、料金が二重に請求されるのではないかと不安になっていませんか?ご安心ください。原則として、1つの場所で電気の二重契約は発生せず、料金が二重に請求されることはありません。しかし、状況によっては意図しない請求が発生したり、手続きが必要になったりするケースもあります。
この記事では、電気の二重契約に関するあらゆる疑問を解消します。
- そもそも「二重契約」がなぜ起こらないのか、その仕組み
- 引っ越しや切り替えで起こりがちなトラブルのパターン別解決法
- 二重請求・二重払いが起きた場合の返金手続き
- 二世帯住宅などで意図的に複数契約する方法
あなたの状況に合った解決策が必ず見つかります。複雑な契約トラブルの不安から解放され、安心して新生活をスタートさせましょう。

- 電気の二重契約は原則できない
- 二重請求は“期間のズレ”が原因のことが多い
- 最も危険なのは「旧居の解約忘れ」による二重払い
- 本当に二重支払いした場合は返金可能
- 二世帯住宅などでは意図的に複数契約も可能
この記事では、「電気の請求書が2社から届いた!」というよくある不安に対し、冷静に原因を見極め、ケース別に適切な対処ができるように解説しています。結論として、電気の二重契約は基本的に起こりません。なぜなら、供給地点には一意の「特定番号」があるため、複数契約はシステム上できないのです。とはいえ、実際には「二重請求」や「解約忘れ」による「二重払い」が起きることも。そんなときの返金手続きや相談窓口、そして防止のためのチェックリストまで、初心者でも安心して対応できるよう丁寧にガイドしています。
そもそも電気の「二重契約」は原則できない!その仕組みとは?

「二重契約は原則できない」と言われても、なぜそう言えるのか分かりませんよね。まずは、電気契約の基本的な仕組みから理解しましょう。この仕組みが分かれば、多くの不安は解消されるはずです。
「二重契約」とはどんな状態?
一般的に「電気の二重契約」という言葉は、いくつかの異なる状況を指して使われています。
- 契約重複: 1つの家(供給地点)に対して、誤って複数の電力会社に申し込みをしてしまった状態。
- 二重請求: 電力会社の切り替え時などに、旧電力会社と新電力会社の両方から請求書が届く状態。
- 二重払い: 旧居の電気契約を解約し忘れ、新居と旧居の両方の電気代を支払っている状態。
これらのうち、1番の「契約重複」は、これから説明する仕組みによって、通常は成立しません。 多くの人が不安に感じるのは2番の「二重請求」ですが、これも請求のタイミングがずれているだけで、実際に二重に支払う必要はないケースがほとんどです。
原則二重契約できない理由「供給地点特定番号」
電気の契約が重複しない最大の理由は、「供給地点特定番号」という22桁の番号の存在です。これは、電気を使用する場所(供給地点)を特定するために、各戸に割り振られた、いわば「電気の住所」のようなものです。
この番号は全国共通で、1つの供給地点には必ず1つの番号しかありません。電力会社は、契約申し込みがあった際にこの供給地点特定番号をシステムに登録します。もし、すでに他の会社が同じ番号で契約している場合、後から申し込まれた契約はシステム上ではじかれ、成立しない仕組みになっています。
そのため、もしあなたが新居の電気契約をA社とB社に重複して申し込んでしまったとしても、先に手続きが完了した方の契約が有効となり、もう一方は自動的にキャンセルされるか、電力会社から確認の連絡が来ることになります。
供給地点特定番号の確認方法
この重要な「供給地点特定番号」は、どこで確認できるのでしょうか。主に以下の書類やウェブサイトで確認できます。引っ越しや電力会社の切り替え手続きで必要になるため、事前に確認しておきましょう。
確認方法 | 詳細 |
---|---|
検針票(電気ご使用量のお知らせ) | 電力会社から毎月投函される検針票に記載されています。最も手軽な確認方法です。 |
電力会社のWebサイト(マイページ) | 契約している電力会社の会員向けページにログインすれば、契約情報として確認できます。 |
請求書 | 電力会社から郵送またはWebで発行される請求書にも記載されている場合があります。 |
もし手元に書類がなく、マイページのIDやパスワードも不明な場合は、契約している電力会社のカスタマーセンターに電話で問い合わせれば教えてもらえます。

「2社に申し込んだかも?」と焦らず、検針票を見て供給地点番号を確認。もし不安なら両社に連絡を入れましょう。
- 供給地点特定番号(22桁)は“住所”のような役割を持ち、重複契約をシステムでブロック。
- 手続きの早い方が有効契約となり、後の申し込みは自動キャンセルや確認連絡となる。
- 心配なら「供給地点番号」は検針票やWebで事前に確認しておくのが安心。
【ケース別】電気の二重契約トラブル!原因と対処法


仕組みは分かっても、実際に請求書が2通届いたり、重複申し込みをしてしまったりすると焦ってしまいますよね。ここでは、よくあるトラブルのケース別に、具体的な原因と対処法を詳しく解説します。
ケース1:引っ越し時に重複して申し込んでしまった
「不動産屋に勧められた電力会社と、自分でネットで見つけた安い電力会社、両方に申し込んだかもしれない…」これは、引っ越し時によくあるケースです。
原因:
引っ越しの慌ただしさの中で、手続きの全体像を把握しきれずに重複して申し込んでしまうことが主な原因です。
対処法:
前述の通り、最終的に契約が有効になるのは1社のみです。多くの場合、申し込み手続きが先に完了した電力会社と契約が結ばれます。もし不安な場合は、申し込みをした両方の電力会社に連絡し、「○月△日から××(住所)で契約を申し込みましたが、状況を確認したいです」と伝えましょう。どちらか一方の契約をキャンセルしたい場合は、その旨を伝えれば手続きしてもらえます。料金を二重に支払う心配はありませんので、落ち着いて連絡してください。
ケース2:電力会社を切り替えたら2社から請求が来た(二重請求)
「A社からB社に切り替えたのに、両方から請求書が来た!これって二重請求?」これも非常に多い問い合わせですが、ほとんどの場合は本当の二重請求ではありません。
原因:
これは、旧電力会社からの最終月の請求と、新電力会社からの初月の請求が、同じタイミングで届くために起こります。電力会社の切り替えは「検針日」を基準に行われます。例えば、検針日が毎月20日の場合、
- 旧電力会社:前月21日〜当月20日までの利用分を請求
- 新電力会社:当月21日〜翌月20日までの利用分を請求
となり、請求期間は重複していません。 請求書が同じ月に2通届くため、二重請求だと勘違いしやすいのです。
対処法:
まずは冷静に2通の請求書を見比べて、「ご請求対象期間」を確認してください。期間が重複していなければ、それぞれ正規の請求ですので、支払う必要があります。万が一、請求期間が1日でも重複している場合は、両方の電力会社に連絡し、状況を説明して確認してもらいましょう。
ケース3:旧居の解約忘れで料金を払い続けていた(二重払い)
これは「二重契約」や「二重請求」とは異なり、実際に金銭的な損失が発生してしまう「二重払い」のケースです。
原因:
引っ越し時に、新居の電気使用開始手続きはしたものの、旧居の解約手続きを忘れてしまった場合に起こります。電気を使っていない場合でも、契約が続いている限り「基本料金」は発生し続けるため、気づかないうちに数ヶ月、数年と支払い続けてしまう可能性があります。
対処法:
気づいた時点ですぐに、旧居で契約していた電力会社に連絡し、解約手続きを行ってください。解約は、連絡した日から遡って処理することはできません。払い過ぎてしまった料金については、電力会社に返金を交渉することになりますが、契約者側の過失であるため、全額返金は難しいケースが多いのが実情です。しかし、事情を丁寧に説明することで、一部返金に応じてもらえる可能性もあるため、諦めずに相談してみましょう。
間違えて払ってしまったお金は返金される?
万が一、システムの不備などで本当に二重請求が発生し、誤って支払ってしまった場合、そのお金は返金されます。 まずは電力会社に連絡し、二重払いが発生している旨を伝えましょう。電力会社側で事実確認が取れ次第、返金手続きの案内があります。一般的には、翌月以降の電気料金から相殺されるか、指定した銀行口座へ振り込まれる形で返金されます。
どうしても解決しない場合の相談窓口
電力会社に問い合わせても話が進まない、対応に納得できないといった場合は、公的な相談窓口を利用することができます。一人で抱え込まず、専門機関に相談しましょう。
相談窓口 | 概要 |
---|---|
電力・ガス取引監視等委員会 | 電力・ガスの取引が公正に行われるよう監視している国の機関。事業者への指導やあっせんを行ってくれます。 |
国民生活センター・消費生活センター | 商品やサービスに関する消費者トラブル全般の相談窓口。事業者との交渉について、専門の相談員がアドバイスやサポートをしてくれます。 |
これらの機関は中立的な立場で問題解決の手助けをしてくれるため、困った際の心強い味方になります。



電力会社で対応してもらえない時は、ためらわず公的機関に相談しましょう。きっと味方になってくれます!
- 「二重請求」は請求期間のずれが99%の原因。中身をよく見れば解決する。
- 二重支払いは原則返金されるが、対応には時間がかかることもある。
- 国民生活センターや電力・ガス取引監視委員会は無料で相談可能。
【ケース別】意図的に電気を複数契約したい場合


ここまでは意図しないトラブルについて解説してきましたが、中には「1つの建物で電気契約を分けたい」と意ితో的に複数契約を希望するケースもあります。このようなことは可能なのでしょうか。
二世帯住宅で契約を分けたい
二世帯住宅では、親世帯と子世帯で生活リズムが異なり、電気の使用量も大きく違うため、契約を分けることで各世帯のライフスタイルに合った料金プランを選べるというメリットがあります。これにより、世帯全体の電気代を節約できる可能性があります。
契約を分けるには、電力メーターを世帯ごとに分ける必要があります。メーターが1つの場合は、電気工事会社に依頼してメーターを増設する工事を行わなければなりません。工事費用は、建物の構造などにもよりますが、一般的に10万円〜20万円程度かかります。工事完了後、各世帯で別々に電力会社と契約を結ぶことができます。
離れや事務所など、同じ敷地内で契約を追加したい
同じ敷地内にある母屋と離れ、あるいは自宅兼事務所などで契約を分けたい場合も、二世帯住宅と同様の考え方になります。それぞれの建物で独立して電気を使えるように、分電盤と電力メーターを分ける工事が必要です。工事を行い、供給地点が物理的に分かれれば、それぞれに供給地点特定番号が割り振られ、個別の契約が可能になります。これにより、家庭用と事業用で料金プランを分けるなど、より効率的な電気の使い方ができます。
自宅と別荘など、複数の拠点で契約したい
自宅と別荘、あるいは所有する複数の賃貸物件など、物理的に場所が異なる不動産で電気を契約するのは、複数契約にはあたりません。それぞれの物件に供給地点特定番号があるため、物件ごとに個別の電気契約を結ぶのが通常の手続きです。これは「一人で複数の契約を持つ」というだけであり、何の問題もありません。同じ電力会社でまとめて契約することも、物件ごとに異なる電力会社を選ぶことも自由です。



家族構成や使い方が違うなら、契約分けは有効な手段。見積もりを取って検討してみてくださいね。
- 二世帯住宅や事務所併設の場合はメーターを分ければ可能。
- 契約分けでライフスタイルに合ったプランが選べるようになる。
- 工事費がかかるので、長期的なコストと利便性で判断を。
もう失敗しない!電気の二重契約を防ぐためのチェックリスト


最後に、今後同じようなトラブルで悩まないために、電気契約の手続きで気をつけるべきポイントをまとめました。
引っ越し時の手続きチェックリスト
引っ越しは手続きが多くて混乱しがちです。以下のチェックリストを参考に、漏れなく進めましょう。
- 【1ヶ月前〜2週間前】新居の電力会社を決め、申し込む: 料金プランやライフスタイルを比較検討し、新居で使う電力会社を決定。Webや電話で申し込みを済ませます。その際、使用開始日を正確に伝えます。
- 【1週間前〜3日前】旧居の電力会社に解約(停止)の連絡をする: 旧居で契約している電力会社に連絡し、解約手続きをします。その際、最終使用日(引っ越し日)を伝えます。これを忘れると二重払いの原因になります。
- 【引っ越し当日】新居のブレーカーを上げる: 新居に着いたら、分電盤のアンペアブレーカー、漏電遮断器、配線用遮断器の順でスイッチを「入」にすると電気が使えます。
- 【引っ越し後】旧居のブレーカーを下げる: 荷物をすべて運び出したら、安全のために旧居のブレーカーを下げておきましょう。
「新居の開始申し込み」と「旧居の解約連絡」はセットで行うと覚えておくのが、最も確実な予防策です。
電力会社切り替え時の注意点
現在の住まいのままで電力会社を切り替える場合は、引っ越しより手続きは簡単ですが、いくつか注意点があります。
- 解約金の有無を確認する: 現在の電力会社の契約プランによっては、契約期間内に解約すると違約金や解約金が発生する場合があります。契約更新月など、解約金がかからないタイミングを狙うのが賢明です。
- 新しい電力会社に申し込むだけ: 電力会社を切り替える場合、新しい電力会社に申し込むだけで、旧電力会社への解約連絡は不要です。新しい電力会社が手続きを代行してくれます。自分で解約連絡をすると、電気が使えなくなる期間が生まれる可能性があり危険です。
- キャンペーンの適用条件を確認する: 「乗り換えで〇〇円キャッシュバック」などのキャンペーンは魅力的ですが、適用条件(契約期間の縛りなど)をしっかり確認しましょう。
契約状況を定期的に確認する習慣を
電気料金の明細は、つい金額だけ見て捨ててしまいがちです。しかし、月に一度は請求書や電力会社のマイページに目を通し、「契約内容」や「使用期間」に間違いがないかを確認する習慣をつけましょう。これにより、万が一の誤請求や意図しない契約変更にもいち早く気づくことができます。



「電気の手続き」はカレンダーやToDoリストに書いておくのがおすすめ!忘れると損します!
- 「新居の申込み」と「旧居の解約」はセットで考えるのが鉄則。
- 引っ越し当日には“ブレーカーON”、退去時には“ブレーカーOFF”を忘れずに。
- 乗り換え時は、解約連絡不要!新会社が代行してくれる。
まとめ


電気の二重契約に関する不安や疑問は解消されたでしょうか。
この記事の要点をまとめると、
- 「供給地点特定番号」があるため、1つの場所で電気の二重契約は原則的に成立しない。
- 2社から請求が来ても、多くは請求タイミングのズレ。請求期間が重複していなければ問題ない。
- 本当に注意すべきは、旧居の解約忘れによる「二重払い」。引っ越し時は解約手続きを忘れずに。
- 万が一トラブルが起きても、電力会社や公的な相談窓口に連絡すれば必ず解決できる。
電気の契約は複雑に感じるかもしれませんが、仕組みを正しく理解し、一つひとつ手順を踏めば、何も怖いことはありません。もし今、あなたがトラブルの渦中にいるのなら、まずは手元にある請求書を確認し、記載されている電力会社のカスタマーセンターに電話をしてみましょう。この記事が、あなたの不安を解消し、次の一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。