エアコンつけっぱなしで火事は起きる?原因と今日からできる安全対策7選

【結論】エアコンをつけっぱなしにしても火事の心配はほぼありません。
ただし、古い機器・ホコリ・誤った使い方があると火災につながるため、日常点検が必須です。

この記事で分かること
  • おすすめする人:ペット飼育中・在宅ワーク・長時間冷暖房を使う家庭
  • メリット:室温安定・電力効率向上・機器寿命の延命効果
  • デメリット/注意点:経年劣化・ホコリ・不適切な掃除が原因で火災の危険

「留守中のペットのためにエアコンをつけっぱなしだけど、火事にならないか心配…」
「もう10年以上使っている古いエアコンだから、長時間運転させるのが怖い…」

夏の猛暑日や冬の厳しい寒さの中、大切なご家族やペットのためにエアコンを一日中つけっぱなしにしているご家庭は多いですよね。しかし、ふとした瞬間に「つけっぱなしで火事になったらどうしよう」という不安が頭をよぎることはありませんか?

ご安心ください。結論から言うと、正常な状態のエアコンを「つけっぱなし」にすること自体が、火事の直接的な原因になる可能性は極めて低いです。

この記事では、消防庁や製品事故の調査機関(NITE)の最新データを基に、エアコン火災の本当の原因を徹底的に解説します。さらに、ご家庭で今日からすぐに実践できる具体的な安全対策まで、専門家の視点でわかりやすくお伝えします。

この記事を読めば、エアコン火災への漠然とした不安が解消され、正しい知識を持って安心してエアコンを使えるようになります。

【忙しい人向け】1分で読める要約

エアコンを「つけっぱなし」にすること自体が火災を起こす可能性は極めて低く、火災の主因は劣化やホコリ、配線ミスなど別要因です。
ただし、10年以上の使用・内部汚れ・トラッキング現象などを放置すると、発火リスクが高まります。
定期的な清掃と点検を怠らず、正しい設置・配線・使用を守れば、24時間運転も安全です。

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目次

【結論】エアコンのつけっぱなし自体が火事の直接原因ではない

まず最もお伝えしたいのは、現代のエアコンは連続運転を前提に設計されており、内部に異常な温度上昇などを検知すると自動で運転を停止する安全装置が備わっているということです。そのため、単に「つけっぱなし」というだけで火災につながることは、ほとんどありません。

実際に、製品評価技術基基盤機構(NITE)も「エアコンのつけっぱなしによって火事になる可能性は極めて低い」との見解を示しています。

しかし、これはあくまでエアコンが「正常な状態」であることが大前提です。長年の使用による部品の劣化や、ホコリの蓄積、誤った使い方といった「異常」があると、話は別です。火災のリスクは、つけっぱなしという行為そのものではなく、見えない場所に潜む別の原因によって引き起こされるのです。

エアコンは「連続運転に強い家電」です。
短時間での入り切りよりも、一定温度で運転を続けた方が省エネで安全。
ただし、焦げ臭い匂い・異音・ブレーカー落ちが見られたら即停止し、電源プラグを抜いて専門業者に相談してください。

この章のポイント
  • 現代のエアコンには温度異常検知・自動停止装置が標準搭載(電気用品安全法適合)。
  • NITEによると「つけっぱなし自体が原因の火災」は極めて稀。
  • 火災の多くは経年劣化や誤使用に起因。

データで見るエアコン火災の実態

では、実際にエアコンが原因の火災はどれくらい起きているのでしょうか。総務省消防庁やNITEの2025年10月時点の最新データによると、過去5年間(2020年度~2024年度)でエアコン及びその周辺機器が原因となった火災事故は363件報告されており、中には死亡事故に至るケースも発生しています。

これは決して無視できる数字ではありません。そして、その原因の多くは「つけっぱなし」ではなく、これから解説するような見落としがちなポイントに集中しています。原因を正しく知ることが、悲しい事故を防ぐための第一歩です。

【要注意】つけっぱなしより危険!エアコン火災の5大原因

エアコン火災の本当の引き金となるのは、以下の5つの原因です。ご自宅のエアコンに当てはまるものがないか、一緒に確認していきましょう。

NITEと消防庁の統計では、エアコン火災の主因は「経年劣化」「ホコリ」「配線ミス」に集中しています。
特に10年以上使用している製品は内部の絶縁劣化が進み、モーターや基板でショートが発生しやすくなります。
また、延長コードやタコ足配線、誤った洗浄スプレー使用も発火事例の一因です。

原因1:経年劣化(10年以上の使用)

お使いのエアコン、何年目になりますか?多くのエアコンメーカーが定める「設計上の標準使用期間」は10年です。これを超えて使用している場合、内部の部品が目に見えないところで劣化している可能性があります。

特に、モーターや電子基板、内部の配線などが長年の使用で摩耗・劣化すると、異常な熱を持ったり、ショートしたりして発火に至る危険性が高まります。NITEの報告でも、火災事故の多くが製造から10年以上経過した製品で発生しているというデータがあります。15年もののエアコンをお使いの場合、特に注意が必要です。

原因2:ホコリによる「トラッキング現象」

トラッキング現象とは、コンセントと電源プラグの隙間に溜まったホコリが湿気を吸い、電気の通り道(トラック)を作ってしまうことで発火する現象です。

エアコンのコンセントは壁の高い位置にあることが多く、普段なかなか掃除しない場所ですよね。そのためホコリが溜まりやすく、梅雨時期の湿気や冬の結露によって、トラッキング現象が起きやすい環境になりがちです。電源がオフでもプラグが刺さっているだけで発生する、非常に怖い火災原因の一つです。

原因3:電源コード・配線のトラブル

エアコンは消費電力が大きいため、必ず壁にある専用コンセントに直接接続するのが鉄則です。長さが足りないからといって延長コードを使ったり、他の家電と一緒に「タコ足配線」をしたりすると、コードが熱を持って発火する危険性が非常に高まります。

また、電源コードを家具の下敷きにしたり、束ねて使ったりすることも断線や過熱の原因となります。特にペットを飼っているご家庭では、ペットがコードをかじってしまい、配線がむき出しになってショートするケースもあるため、コードの保護も重要です。

原因4:内部の汚れと不適切な掃除

エアコン内部のフィルターにホコリがびっしり詰まっていると、空気の流れが悪くなり、モーターに過剰な負荷がかかって過熱し、火災につながることがあります。

また、良かれと思って行った掃除が裏目に出ることも。特に、市販のエアコン洗浄スプレーを知識なく使用するのは危険です。洗浄液が内部の電気部品にかかってしまうと、それが原因でショートしたり、トラッキング現象を引き起こしたりして発火する事故が後を絶ちません。内部の洗浄は必ず専門業者に依頼しましょう。

原因5:室外機の問題(異物混入・環境)

見落としがちなのが、屋外に設置されている室外機です。室外機の周りに段ボールやゴミ、枯れ葉などの燃えやすいものを置いていると、タバコのポイ捨てなど外部の火が燃え移り、火災になることがあります。

また、室外機のファンから虫や小動物、ペットの毛などが内部に侵入し、電子基板に触れてショート、発火するというケースも報告されています。室外機の周辺は常に整理整頓し、風通しを良くしておくことが大切です。

エアコン火災の多くは「防げる事故」です。
10年以上使用している場合は、メーカーの安全点検を依頼し、コード周辺やプラグの変色を定期的に確認しましょう。
掃除スプレーは基板を損傷させることがあるため、内部洗浄は専門業者に任せるのが安全です。

エアコン火災の多くは「防げる事故」です。
10年以上使用している場合は、メーカーの安全点検を依頼し、コード周辺やプラグの変色を定期的に確認しましょう。
掃除スプレーは基板を損傷させることがあるため、内部洗浄は専門業者に任せるのが安全です。

この章のポイント
  • 火災要因の多くは「経年劣化」「ホコリ」「配線トラブル」。
  • 製造後10年以上の製品は法定耐用期間を超え、発火リスクが上昇。
  • トラッキング現象や誤清掃が重大事故を誘発。

今日からできる!プロ直伝エアコン安全対策7選

火災の原因がわかったところで、次は具体的な対策です。ご家庭で簡単にできる安全総点検リストを作成しました。定期的にチェックする習慣をつけましょう。

チェック項目確認ポイント頻度の目安
1. コンセント周り電源プラグにホコリは溜まっていないか?変色や焦げ跡はないか?半年に1回
2. 電源プラグプラグはコンセントの奥までしっかり刺さっているか?グラグラしないか?使用開始時
3. フィルターフィルターにホコリが詰まっていないか?月に1~2回
4. 運転中の状態焦げ臭いニオイや、これまでになかった異音・振動はないか?運転ごと
5. 室外機周り周囲に燃えやすいものはないか?吸込口や吹出口が塞がれていないか?月に1回
6. ブレーカーエアコン使用中に頻繁にブレーカーが落ちないか?異常時
7. 専門家による点検10年以上使用している場合、専門業者による点検やクリーニングを検討1~2年に1回

これらのチェックは、火災を防ぐだけでなく、エアコンの性能を維持し、電気代の節約にもつながります。特にフィルター掃除は、冷暖房効率を大きく左右するため、こまめに行うことを強くおすすめします。

火事だけじゃない!古いエアコンを使い続ける3つのリスク

製造から10年以上経過した古いエアコンは、火災以外にも様々なリスクを抱えています。買い替えを検討する際の参考にしてください。

古いエアコンは火災だけでなく、故障・電力浪費・健康被害のリスクを抱えています。
内部のモーター・基板・絶縁材が劣化し、過熱・ショート・発煙の危険性が増大。
また、省エネ基準が旧式のため、最新機に比べて年間電気代が最大1万円以上高くなる場合もあります。

リスク1:故障リスクの増大と高額な修理費

経年劣化により、エアコンの心臓部であるコンプレッサーやファンモーターなどが故障しやすくなります。メーカーの部品保有期間は製造終了後10年程度が一般的なため、いざ故障しても部品がなく修理できないケースも少なくありません。運良く修理できても、数万円単位の高額な費用がかかることがあります。

リスク2:電気代の高騰

エアコンの省エネ性能は年々向上しています。10年以上前のモデルと最新の省エネモデルを比較すると、年間の電気代が数千円から1万円以上も変わってくることがあります。古いエアコンを使い続けることは、目に見えないコストを払い続けているのと同じなのです。

リスク3:カビによる健康被害

エアコン内部は湿気が溜まりやすく、ホコリを栄養源にしてカビが繁殖しやすい環境です。長年クリーニングしていないエアコンの内部は、カビだらけになっている可能性があります。エアコンをつけるたびにカビの胞子を部屋中にまき散らし、アレルギーや呼吸器系の疾患を引き起こす原因にもなりかねません。

「冷えが悪い」「焦げ臭い」「運転音が大きい」などのサインがあれば、即点検を。
10年以上経過しているなら、修理より買い替えの方が安全・経済的です。
メーカーが示す「設計上の標準使用期間(10年)」を目安に、安全な更新を心がけましょう。

この章のポイント
  • 10年超のエアコンは部品供給終了・安全基準非対応。
  • 劣化により電流過多・絶縁破壊・異常発熱の危険。
  • 経済損失(修理費・電気代)も大きい。

エアコン火災に関するQ&A【専門家が回答】

ここでは、皆様からよく寄せられる質問に専門家の視点からお答えします。

何年使ったら買い替えを考えるべき?

使用期間が10年を超え、以下のサインが見られたら買い替えを強く推奨します。

  • 冷え方・暖まり方が悪くなった
  • 運転中に異音や異臭がする
  • 修理費用が高額(5万円以上など)になる
  • 電気代が以前より高くなった気がする

最新のエアコンは省エネ性能が高いだけでなく、空気清浄機能やAIによる自動運転など、快適性も大きく向上しています。長期的に見れば、安全・快適・経済的という大きなメリットがあります。

賃貸の備え付けエアコンが古い場合はどうすれば?

まずは大家さんや管理会社に相談してください。 賃貸物件の設備は、所有者である大家さんのものです。勝手に修理業者を呼んだり、交換したりするとトラブルの原因になります。
エアコンの効きが悪い、異音がするなど気になる点があれば、まずは状況を正確に伝えて相談しましょう。点検やクリーニング、場合によっては交換をしてもらえる可能性があります。安全に関わることなので、遠慮せずに伝えることが大切です。

まとめ

エアコン火災は、「つけっぱなし」が原因なのではなく、「経年劣化」「ホコリ」「不適切な配線」といった見えないリスクが引き起こします。

大切なのは、エアコンが発する小さなSOSサインを見逃さないこと。この記事でご紹介した「安全対策7選」を参考に、定期的なセルフチェックを習慣にしてみてください。それだけで、あなたと大切な家族、そしてペットの安全は格段に高まります。

もし少しでも「おかしいな」と感じたら、ためらわずに専門業者に相談してください。日々の小さな心がけが、万が一の事故を防ぐ最も確実な方法です。

参照

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