失敗しない！契約電流の選び方ガイド｜世帯別目安と計算・変更方法

カンタンでんき＆ガス編集部

【結論】契約電流を正しく設定すれば、ブレーカー落ちも高い電気代も解消可能。
「使用量に合ったアンペア数」と「余裕ある設定」が快適生活の鍵です。

この記事で分かること

おすすめする人：ブレーカーが頻繁に落ちる・電気代が高いと感じる家庭
メリット：電気代削減・停電防止・家電の安定稼働
デメリット／注意点：下げすぎると停電リスク、賃貸は管理者の許可が必要

「夕飯の準備中にまたブレーカーが落ちた…」「毎月の電気代、基本料金だけでも結構高いな…」
そんなお悩みをお持ちではありませんか？特に、家族が増えたり、在宅ワークで家にいる時間が増えたりすると、電気の使用量は自然と増えていきます。

もしかしたら、そのイライラや高い電気代の原因は、ご家庭のライフスタイルに「契約電流（アンペア）」が合っていないからかもしれません。

この記事では、電気の専門知識がない方でも安心して契約電流を見直せるよう、以下の内容を徹底的に解説します。

そもそも契約電流（アンペア）って何？
我が家の契約電流を確認する簡単な方法
世帯人数やライフスタイルに合った最適なアンペア数の見つけ方
アンペア変更の具体的な手続きと注意点
さらにお得にするための電気代節約術

この記事を最後まで読めば、あなたのご家庭にぴったりの契約電流が分かり、無駄な電気代を節約しながら、ブレーカーが落ちるストレスのない快適な生活を手に入れることができます。さっそく一緒に確認していきましょう。

【忙しい人向け】1分で読める要約

家庭で使える電気の最大量＝「契約電流（アンペア）」を見直すことで、
ブレーカー落ちや電気代の無駄を解消できます。
自分の家のアンペア数は「分電盤」「検針票」「WEB」で簡単に確認可能。
世帯人数や家電の同時使用数に合わせて適正化することで、
電気代を年間数千円〜1万円節約しながら、安全で快適な生活が実現します。

契約電流（アンペア）とは？電気の基本をわかりやすく解説

まずは、電気代見直しの第一歩となる「契約電流」の基本から理解しましょう。少し専門的に聞こえるかもしれませんが、仕組みはとてもシンプルです。

結論

契約電流は、家庭内で安全に使える電気の最大容量を示すもので、
ブレーカーが落ちない範囲で同時に家電を動かすための指標です。
契約アンペアが大きいほど基本料金は高くなりますが、
低すぎると複数の家電を使った際にブレーカーが頻繁に落ちます。
「30A」「40A」「50A」など、使用環境に応じた適切な設定が重要です。

契約電流（アンペア）の仕組み

契約電流とは、「家庭内で同時に使える電気の最大量」のことです。よく水道管の太さに例えられます。水道管が太いほど一度にたくさんの水を使えるように、契約電流（アンペア数）が大きいほど、一度にたくさんの家電製品を同時に使うことができます。

多くの電力会社（北海道、東北、東京、中部、北陸、九州電力エリアなど）では、この契約電流の大きさに応じて毎月の基本料金が決まる「アンペア制」を採用しています。つまり、契約アンペア数が大きいほど基本料金は高くなり、小さいほど安くなります。

しかし、契約アンペア数が小さすぎると、複数の家電を同時に使ったときに電気の最大量を超えてしまい、安全のために設置されている「アンペアブレーカー」が落ちて停電してしまいます。

自宅の契約電流を確認する3つの方法

ご自宅の契約アンペア数が分からない場合、以下の3つの方法で簡単に確認できます。

分電盤のアンペアブレーカーを見る
最も確実な方法です。玄関や洗面所などに設置されている分電盤（ブレーカーボックス）を開けてみましょう。一番大きいブレーカー（アンペアブレーカー）に「30A」「40A」といった数字が書かれています。電力会社によっては色分けされていることもあります（例：東京電力管内では30Aは緑、40Aは灰色）。
「電気ご使用量のお知らせ（検針票）」を見る
毎月電力会社から届く検針票や、WEB明細の「ご契約内容」の欄に「ご契約 40A」のように記載されています。
電力会社の会員サイトで確認する
契約している電力会社の会員向けWEBサイト（マイページ）にログインすれば、現在の契約内容をいつでも確認できます。

近年普及しているスマートメーターが設置されているご家庭では、分電盤にアンペアブレーカーがない場合があります。その場合は、検針票かWEBサイトで確認しましょう。

編集部・川端

電力会社の検針票やマイページで、現在の契約アンペアをまず確認しましょう。
30A未満でブレーカーが落ちることが多い場合、40Aへの変更を検討。
逆に余裕がありすぎる場合は、基本料金を節約するチャンスです。

この章のポイント

契約電流は「家庭で同時に使える電力量の上限」で、基本料金に直結。
水道の「パイプの太さ」に例えられるように、アンペア数が多いほど電力を多く流せる。
東京電力など大手は「アンペア制」を採用しており、過大契約はコスト増の原因。

我が家に最適な契約電流は？世帯人数・ライフスタイル別の目安

最適な契約アンペア数は、ご家庭の状況によって大きく異なります。ここでは、世帯人数やライフスタイル別の目安と、ご自身で計算する方法をご紹介します。

結論

1人暮らしなら20〜30A、2人で30〜40A、4人家族なら40〜50Aが目安です。
エアコンやIH、電子レンジなど消費電力が高い機器を同時使用する家庭は、
1ランク上げた設定が快適です。
在宅勤務やペット飼育などで日中の電力使用が多い場合も、
40A以上を推奨します。
逆に自炊や使用頻度が少ない家庭は、30Aでも十分です。

世帯人数別の契約アンペア数目安

まずは、一般的な世帯人数別の目安を見てみましょう。

世帯人数	契約アンペア数の目安	主なライフスタイル
1人暮らし	20A～30A	家電の同時使用が少ない。自炊をあまりしない。
2人暮らし	30A～40A	家電を同時に使うことがある。調理家電が増える。
3～4人家族	40A～50A	エアコン、電子レンジ、炊飯器などを同時に使う機会が多い。
5人以上	50A～60A	家族それぞれの部屋で家電を使用。消費電力の大きい家電が多い。

これはあくまで一般的な目安です。同じ4人家族でも、ライフスタイルによって最適なアンペア数は変わってきます。

ライフスタイル別に見る最適なアンペア数

現代では、より多様なライフスタイルが存在します。以下のようなご家庭は、一般的な目安よりも少し余裕を持ったアンペア数が必要になる場合があります。

在宅ワーカーがいる家庭: 日中にパソコン、モニター、エアコン、照明などを長時間同時に使用するため、40A以上が推奨されます。
オール電化住宅: IHクッキングヒーターやエコキュートなど、消費電力の大きい電気設備があるため、50A～60A、またはそれ以上の契約が必要です。
ペットのために24時間空調を使う家庭: 夏場や冬場にエアコンを常時稼働させるため、消費電力が大きくなります。他の家電との同時使用を考慮し、40A以上あると安心です。

家電から必要アンペア数を計算する方法

ご家庭に最適なアンペア数をより正確に知るには、実際に使う家電から計算するのが一番です。計算はとても簡単です。

必要なアンペア数(A) = 家電の消費電力(W) ÷ 100(V)

日本の家庭用コンセントの電圧は基本的に100Vです。家電製品に記載されている消費電力（W）を100で割れば、その家電が使うアンペア数が分かります。

以下の表を参考に、一番電気を使いそうな時間帯（例：平日の夕方）に同時に使う家電のアンペア数を合計してみましょう。

家電製品	消費電力(W)の目安	アンペア(A)の目安
エアコン（冷房）	600～800W	6～8A
エアコン（暖房）	700～2,000W	7～20A
IHクッキングヒーター	1,400～3,000W	14～30A
電子レンジ	1,000～1,500W	10～15A
炊飯器（炊飯時）	1,200～1,400W	12～14A
ドラム式洗濯乾燥機	1,100～1,300W	11～13A
ヘアドライヤー	1,200W	12A
テレビ（液晶42V型）	150W	1.5A
冷蔵庫	200～300W	2～3A

例えば、4人家族の佐藤さん宅で、夕食の準備中に「エアコン（暖房）8A」「電子レンジ 13A」「炊飯器 13A」「テレビ 1.5A」「冷蔵庫 2.5A」「照明など 2A」を同時に使ったとします。合計は 40A となり、40Aの契約であればギリギリ、50Aの契約なら余裕がある、ということが分かります。

夕方など一番電気を使う時間帯に、同時に動かす家電をリスト化して計算してみましょう。
「消費電力 ÷ 100 = アンペア」で概算できます。
目安より少し高めの契約にしておくと、
ブレーカーが落ちるストレスを避けながら無駄な出費を防げます。

この章のポイント

世帯人数だけでなく、同時使用家電数が契約電流の判断基準。
オール電化・在宅勤務・ペット飼育家庭は高アンペア契約が推奨。
消費電力（W）÷100(V)で必要アンペアを簡易計算できる。

契約電流の変更手続き｜費用・工事・注意点を完全ガイド

最適なアンペア数が分かったら、次は変更手続きです。手続きは思ったよりも簡単ですが、いくつか知っておくべき注意点があります。

結論

契約電流の変更は、電力会社のマイページまたはカスタマーセンターで申請可能です。
スマートメーターなら即日〜翌営業日に反映。
従来メーターの場合は、アンペアブレーカーの交換作業が必要です。
費用は基本無料ですが、古い分電盤や配線不備がある場合は工事費が発生します。
また、1年に1回しか変更できないため、慎重な設定が必要です。

契約電流変更の流れと申し込み方法

契約アンペア数の変更は、契約している電力会社のカスタマーセンターへの電話、または公式ウェブサイトから申し込むだけで完了します。

申し込み後の流れは、ご自宅の電気メーターの種類によって異なります。

スマートメーターの場合: 電力会社が遠隔操作で設定を変更するため、立ち会い工事は不要で、数時間～翌営業日には変更が完了します。
従来のアナログメーターの場合: 作業員が訪問してアンペアブレーカーを交換する工事が必要です。申し込みから工事まで1～2週間程度かかることがあります。

アンペア変更にかかる費用と工事

契約アンペアの変更に伴う工事費用は、原則無料です。スマートメーターへの交換が必要な場合も、費用はかかりません。

ただし、分電盤自体が古い、建物内の配線に問題があるといった特殊なケースでは、別途費用が発生する可能性があります。心配な場合は、申し込み時に電力会社に確認しましょう。

賃貸物件でアンペア変更する際の重要ポイント

アパートやマンションなどの賃貸物件にお住まいの場合、アンペア変更には必ず大家さんや管理会社の許可が必要です。分電盤や配線は建物の所有物だからです。

無断で変更するとトラブルの原因になりますので、必ず事前に相談してください。また、建物全体の電気設備の仕様（単相2線式など）によっては、希望するアンペア数に変更できない場合もあります。

契約電流を変更する前に知っておきたい注意点

アンペア変更は簡単ですが、失敗しないために以下の2点は必ず覚えておきましょう。

変更は原則、年1回まで
多くの電力会社では、契約を変更してから1年間は、再度変更することができません。そのため、安易にアンペア数を下げてしまうと、夏や冬にエアコンを多用する時期にブレーカーが頻繁に落ちてしまい、1年間不便な生活を送ることになる可能性があります。一年で最も電気を使う時期を基準に、少し余裕を持ったアンペア数を選ぶことが重要です。
下げすぎによるデメリット
基本料金を安くしたいからとアンペア数を下げすぎると、ブレーカーが頻繁に落ちてしまいます。これは生活が不便になるだけでなく、急な停電はパソコンなどの精密機器にダメージを与え、故障の原因になることもあります。節約額と生活の快適性のバランスをよく考えて判断しましょう。

契約変更の前に「年間の最大使用月（夏・冬）」を基準に考えるのがコツ。
ブレーカー落ちを避けるため、余裕を持った設定に。
賃貸の場合は必ず管理会社へ確認を。
スマートメーター未設置なら、交換を依頼すれば無料で設置してもらえます。

この章のポイント

スマートメーター導入家庭では、遠隔設定変更が可能で工事不要。
契約変更は原則無料、ただし年1回までの制限あり。
賃貸では所有者（大家・管理会社）の許可が必須。

ブレーカーが頻繁に落ちる原因と対処法

契約電流を見直すきっかけにもなる「ブレーカーが落ちる」問題。分電盤にある3種類のブレーカーの役割を知ることで、原因と対処法が分かります。

結論

ブレーカーが落ちる原因は大きく3つ。
①アンペアオーバー（同時使用家電が多すぎる）
②安全ブレーカーの過負荷（たこ足配線など）
③漏電ブレーカー作動（配線や機器故障）です。
アンペアブレーカーは使用量を減らして復旧可能ですが、
漏電の場合は感電・火災の危険があるため、電気工事店や電力会社に相談が必要です。

3種類のブレーカーの役割と見分け方

分電盤には通常、3つのブレーカーがあります。

アンペアブレーカー（一番大きい）: 契約アンペア数を超えた電気を同時に使うと落ちます。原因は電気の使いすぎです。
安全ブレーカー（小さいものが複数）: 各部屋やコンセントの回路ごとに分かれており、許容量を超えると落ちます。たこ足配線など、特定の場所での電気の使いすぎが原因です。
漏電ブレーカー（テストボタンがある）: 電化製品や配線の故障で漏電を検知すると落ちます。感電や火災を防ぐ重要な安全装置です。

原因別！ブレーカーが落ちた時の正しい復旧手順

もしブレーカーが落ちたら、慌てずにどのブレーカーが落ちたかを確認し、正しく対処しましょう。

アンペアブレーカーが落ちた場合: 使っている家電の数を減らしてから、つまみを「入」に戻します。
安全ブレーカーが落ちた場合: 落ちた回路で使っていた家電のプラグをコンセントから抜き、ブレーカーを「入」に戻します。
漏電ブレーカーが落ちた場合: 注意が必要です。まず全ての安全ブレーカーを「切」にし、漏電ブレーカーを「入」にします。次に安全ブレーカーを一つずつ「入」にしていき、再度漏電ブレーカーが落ちた回路が漏電箇所です。危険ですので、すぐに電力会社や電気工事店に連絡してください。

落ちたブレーカーの種類を確認し、順番に復旧を。
アンペアブレーカー→使用家電減→復旧、
安全ブレーカー→該当回路を停止、
漏電ブレーカー→全切→1つずつ入れて漏電箇所特定。
再発を繰り返す場合は、配線や家電内部の異常が原因の可能性があるため、
早急に専門業者へ相談しましょう。

この章のポイント

原因の8割は「電気の使いすぎ」または「局所的な過負荷」。
漏電・接触不良の場合、自己復旧は危険。
ブレーカーは3種類（アンペア／安全／漏電）で構成される。

契約電流の見直しと合わせて実践したい電気代節約術

契約電流の最適化は電気代節約の大きな一歩ですが、さらに踏み込むことで家計を楽にできます。

結論

契約電流を適正化するだけでなく、料金プランを見直すとさらに効果的です。
基本料金0円型の新電力や、夜間割引プランを活用すれば、
ライフスタイルに合わせて無駄な固定費を減らせます。
また、待機電力の削減や省エネ家電への買い替えも長期的な節約につながります。

電力会社の乗り換えで基本料金をさらに削減

2016年の電力自由化以降、多くの新電力会社が参入し、ユニークな料金プランを提供しています。中には、基本料金が0円のプランや、アンペア契約ではない「最低料金制」を採用している会社もあります。

特に、電気の使用量が少ない月があるご家庭や、日中はほとんど電気を使わないというご家庭は、基本料金0円プランに乗り換えることで、電気代を大幅に削減できる可能性があります。電力比較サイトなどを活用し、ご自身のライフスタイルに合った電力会社を探してみることをおすすめします。

ライフスタイルの工夫で電気使用量を抑える

契約アンペアや電力会社の見直しと合わせて、日々の電気の使い方を少し工夫するだけで、電気代はさらに安くなります。

ピークシフトを意識する: 電子レンジ、ドライヤー、洗濯乾燥機など、消費電力の大きい家電を同時に使うのを避ける。
省エネ家電に買い換える: 10年以上前の古い家電は、最新の省エネモデルに比べて多くの電力を消費します。長期的に見れば、買い替えが大きな節約につながります。
待機電力をカットする: 使わない家電は主電源を切るか、プラグを抜く習慣をつけましょう。

電気代を減らすコツは「契約の最適化＋使い方の工夫」。
ピーク時間の家電使用を避け、LED照明・高効率エアコンに交換すれば、
電気料金を年間1万円以上削減可能です。
乗り換えは電力比較サイトを利用し、契約変更前に口コミや評判を必ず確認しましょう。

この章のポイント